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地下鉄烏丸線の新型車両 内装に伝統工芸

京都市交通局では,現行の地下鉄烏丸線(下の路線図の緑色線)車両20編成のうち9編成を,令和3年度から令和7年度にかけて新型車両に更新することとしており,第1編成目については,来春の営業運転開始が予定されています。新型車両の外観及び内装デザインには,京都ならではの地下鉄として,京都の伝統産業素材・技法が用いられています。弊社ではこの度、車両内の「吊手」の装飾に参加させていただきました!

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持ち手の上部には通常プラスチック素材の鞘がついていますが、北山杉の皮をむき加工して作られた「北山丸太」が使用されています。この丸太部分の装飾に今回、組紐を巻くデザインが採用されました。こちらの吊手は中間車両4両のみでご覧いただくことができます。この吊手は1車両ごとに各6個採用していただいており、それぞれ異なったデザインの組紐が採用されています。各車両のテーマとしては日本の四季をイメージし、組紐は装束で用いられていた「襲の色目」を参考に組み上げられたものになります。また紐の組み方も4車両それぞれで異なったものを選んでおり、配色だけでなく組目の美しさや光沢の違いなども楽しんでいただくことができます。

出所:京都市交通局 地下鉄全線路線図
https://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/page/0000008995.html

地下鉄全線路面図のダウンロードサイト
https://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/cmsfiles/contents/0000008/8995/jpnrosenzu.pdf

古来、日本では紐の文化がさまざまな用途で発展してきましたが、「何かを巻く」ということも一つの技法でした。代表的なものですと日本刀の持ち手は「柄糸」と呼ばれる組紐をさまざまな手順で巻くことで、美しい装飾性と機能性を実現しています。(この柄部分を巻く専門の職人さんは「柄巻師」と呼ばれます)。今も続く「組紐を巻く」という装飾方法の楽しさをぜひご覧ください。新しい車両では組紐以外にも、金属工芸や西陣織、象嵌などさまざまな技法がところどころにちりばめられております。実際にご覧いただけるのは来春ということですが、この新車両で工芸の新しい可能性を感じていただけますと幸いです。